今回のssyブログでは、ジュニア期のトレーニングで優先すべき3点について考えていきます。
以前も、ジュニア期のトレーニングについて書いた記事はありますが、今回は、その中でもトレーニングの優先度について書いていきたいと思います。
私は、過去に小学生から高校生を対象に数年間だけ指導者をしていました。
全国大会優勝2名
全国大会出場11名
という指導実績でした。
指導者としての指導経験を踏まえて、書いていきます。
私は、中学生から陸上競技をはじめました。
当時、学校の部活に入り、先生が部活の顧問でした。
顧問の先生は、専門的なことを指導するよりも、無理なトレーニングをさせないことに注意をされていたと感じます。
なぜなら、走り込み等のメニューがなかったのです。
走ったとしても、70m×5本。
これは凄く楽しかった思い出があります。
今思えば、大切に指導いただいたなと感じています。
では、競技者経験、及び指導経験を基に考えていきたいと思います。
ジュニア期のトレーニングで優先すべき3点
身体バランスの改善
ジュニア期は成長期であるため、身体バランスが崩れやすい状態だからこそ、優先した方がいいとレーニングがあると考えています。
バランスが崩れていない場合であっても、トレーニング積んだり、私生活の癖等で、特に成長期の選手は、身長が伸びていく状況のため、現時点で身体バランスが崩れていなくても身体バランスを整えるようにすることをお勧めします。
では、身体バランスが崩れているかを確認するにはどうすればいいのでしょうか?
身体バランスのチェックポイント
では、以下の項目で、ご自身に該当されているものがいくつあるか確認ください。
①走っている時に、前腿がしんどくなることなる。
②腰が痛くなる
③足の裏が痛くなる
④肩がこる
⑤膝が痛くなる
上記、5点のうち、1つでも当てはまっていると、身体バランスが崩れている可能性があります。
身体バランスを改善するには
身体バランスを改善するには、最低限の可動域が必要となります。
体の可動域が大きければいいわけでは決してありません。
そこは誤解がないように注意ください。
自分の理想の動作を身体で表現するために必要な最低限の可動域が必要だと考えています。
私は、動的ストレッチで、身体バランスを整えることを重要視していました。
実際、指導者としても選手指導をしていた頃は、身体バランスの崩れている選手に、走るトレーニング等は行わずに、身体バランス改善を優先させていました。
例えば、身体バランスが崩れている状態であれば、走っている際の接地で臀部で体重を受け止めることが難しく、四頭筋(前腿)で体重を受け止めてしまっている状態だと、疾走スピードは高まらず、本来体重を受け止める部位で受け止めていないため、故障につながる可能性も高まります。
走る等のトレーニングよりも身体バランスを改善することを優先させないと、トレーニング効果を期待することが難しいと考えています。
また、身体バランスを改善することもトレーニングのひとつなのです。
ストレッチ等については、コチラに詳しく書いてますのでよろしければご覧ください。
↓↓
重心移動
身体バランスを改善することがある程度できれば、重心移動を第一動作とするトレーニングを行います。
走るというこは、重心移動なので、重心移動を上手く行うことができれば、競技レベルは高まっていくと考えています。
そして、身体バランスを改善できていれば、イメージを体で表現しやすくなっているはずです。
逆に、身体バランスが崩れていれば、イメージ通りに体を動かすことが難しいため、注意が必要です。
重心移動を第一動作とする
ssyブログでは、何度も書いておりますし、ひとつのテーマとともなっていると言っても過言ではないのですが、重心移動はとても重要です。
競技力を向上させたいなら、避けては通れないスキルだと考えています。
逆に、速く走ることができる選手は、このようなスキルを無意識的に習得されていたり、意図的に習得したからこそ、競技力向上につながったと考えると自然です。
では、その重心移動が上手くなるためには、以下のような特化したトレーニングを行うことをオススメします。
では、動画を見ていただきましたら、ポイントをご説明いたします。
- 垂直軸をつくる
- シューズの外側ラインが進行方向にむくように
- 骨盤前傾(上体前傾)をつくる
この3点は姿勢をつくるためのポイントです。
この状態がつくれたら、今度は、重心を前方に移動させることでつられて脚が動く力を利用して、走り出します。
ただ、最初は歩くことで感覚を掴んでください。
重心が動き出す前に、脚を先に動かすと、重心よりもかなり遠い位置で、接地してしまうため、加速することは難しくなり、ブレーキが長い時間かかってしまいます。
まずは、姿勢をつくり、歩きに繋げていくこと、
重心を送り出してから、脚が動くのを少し我慢するのがポイントです。
上手くいけば、スタスタスタと2歩目、3歩目が自然と出てくると思います。
この動作で、自然と足が出てくる感覚を続けていき、距離を伸ばすことが非常に重要です。
この重心を送り出して、脚が自然と出てくる感覚を掴み、距離を伸ばしていくことができれば、この動作をきっかけとして走りだすことは重心移動をきっかけとしたスタートの感覚づくりとしてとても有効です。
重心移動について、詳しくはコチラにも書いていますので、併せてご覧いただけると幸いです。
↓↓
30mダッシュ
3点目は、30mです。
30mにはこだわっていらっしゃいますか?
私は、200mだから、400mだから、もっと長い距離を走らないといけないと考えていらっしゃったり、100m走る為には120~150mの走り込みを優先してしまう等あるのではないかと思います。
私は、30mのトレーニング非常に重要だと考えています。
30mと言えば、100mで考えると、加速局面(0~30m)になります。
この加速局面での走加速度を高めることが非常に重要なのです!!
(小林,2011)によると加速局面前半に大きな走加速度を獲得することが,加速局面中盤以降の走速度の有意差につながることが示されたという報告があります。
上記から、加速局面での走加速度を高めることができれば、それ以降の中間疾走、減速局面でもスピードを高め、減速をおさえながら走ることができると考えられます。
逆に、スタートしてから加速度が高まらない(スタートが速いということではない)と中間疾走局面からゴールまでは速く走るのが難しいですよということです。
私の選手経験、及び指導者としての経験ですが、私は短距離選手を指導する際は、専門種目関係なく30mダッシュを重視していました。
私自身もですが、指導させていただいていた選手も例外なくレース後半が得意な選手ばかりでした。
それは30mダッシュを重視していたからです。
スタート自体は得意でなくても、30mまでの加速度をしっかりと高められれば、それ以降もスピードに優位性がでてくると考えていました。
30mダッシュで走加速度を高めるために
30mダッシュで走加速度を高めるためには、いろいろは方法があるとは思いますが、ここは一度立ち返ります。
結論、重心移動を第一動作として、重心を拾っていくことが重要となります。
つまりは、重心移動を第一動作としたトレーニングで掴んだ感覚を持って走っていくことで、走加速度を高められると考えています。
それをスターティングブロックを使用する短距離であれば、スターティングブロックから行えるようにならないといけないのです。
|
|
地面を押したり、蹴ったりという感覚は一度捨て、
合成重心を脚でとらえていく(拾っていく)イメージです。
いつも選手指導の際に、選手には、「脚が自然と出続けるような位置で走り続けてみよう」と伝えていました。
この感覚を掴むことができれば、記録は向上します。
まとめ
トレーニングにはレベルにより段階がありますが、今回はジュニア期のトレーニングにおいて優先すべき3点をお伝えしました。
①身体バランスの改善
②重心移動
③30mダッシュ
この順序でトレーニングを行い、発展していくことができれば、記録は向上すると考えています。
私が指導させていただいた選手で、一番向上した選手で、
男性選手で18秒台が12秒台
女性選手で14秒台が12秒前半に向上してくれました。
また、中盤以降が特に強い選手ばかりでしたので、これが私の指導後の選手の特徴ともなっていました。
もし、選手で記録向上が難しいと悩んでいたり、指導者で指導に行き詰っている方がいらっしゃいましたら、参考になれば幸いです。
以下の記事も、よければ参考にしていただければと思います。
参考文献
小林 海(2011)
競技レベルの高い陸上短距離選手における走速度の決定因子 : 短距離走の加速局面を対象として