年間を通したトレーニング計画と結果について

ジュニア期の指導について

今回のssyブログでは、年間を通したトレーニング計画と結果について書いていきたいと思います。
陸上競技では、シーズンとオフシーズンがあり、トレーニングの内容が異なる傾向があります。
特に、短距離を速く走る方法はシーズン中にトレーニングしておきながら、全く異なる方向性の努力をシーズンオフでしている場合等があるため、今回は私が指導者時代に行っていた年間トレーニング計画と結果について書いていきたいと思います。
以前、ブログで小中学生のとトレーニング導入について記載しました。

基本的には、上記の記事のようなトレーニング導入を基礎として行っていました。
それをもう少し深く掘っていこうと思いました。

年間を通して、トレーニングの方向性はどのようなイメージをお持ちですか?
私は、基本的には年間通して同じ方向性のトレーニングで指導していました。
理由は、冬に量を走り込んで、夏は本数を減らして質を高めるという傾向が多いと思います。
年間通してスピードを高めて走ればいいのでは?と考えたのがきっかけなのですが、この年間トレーニングの方向性について、疑問を持つようになりました。

イメージしやすいので、冬期練習について書きますが、
冬期練習では、練習量を増やし、スピードを下げて走るというトレーニングが増えていく傾向になると思います。

無意識でそのようなトレーニング傾向にされている部分もあるかと思います。

年間通してスピード練習を大切にしたい

私は、年間通じてスピード練習を大切にしています。
何故なら、スタートして速くゴールすることが目的の競技を行っているからと考えています。
だから、わざわざスピードを落としたトレーニングを行う場合は、他にスキル面での狙いがある場合以外では行うことはありません。

そして、年間通してスキルトレーニングは重視していました。
体を扱い、如何に重心を進行方向へロスなく進めるかというテクニックはスキル向上が不可欠だと考えているからです。

年間のトレーニングにおける疑問

イメージしやすいのは冬期練習のため、冬期練習を例に書いてみます。
冬期練習では、練習量を増やし、スピードを下げて走るというトレーニングが増えていく傾向にあるのは何故だと思いますか?

私は冬期練習とそれ以外でトレーニングの方向性を変えてしまうのが理解できませんでした。
何故なら、春先に走るとスピードに上手く乗れずに、力みに繋がったり、最悪怪我につながったりという経験があったからです。
これって、おかしくないか?何故、スピードをわざわざ落とすの?等、疑問がいろいろと沸いてきました。

冬期練習の伝統的な傾向が当たり前となっていたのだから、疑問に思わない人が多いとも感じていましたし、集団でトレーニングすると、その考えの違いから、ジレンマもあり苦労した覚えもあります。

指導者となって迎えたトレーニング指導

私が指導者に従事していた時、冬期練習だからといって、スピードを落とし、走る量を増やすというような方向のトレーニングは行いませんでした。

練習量は、多少なりとも増える傾向にはありましたが、スピードは基本的に最高値で走るようなトレーニングです。

指導を行う上で大切にしていたのは、常にコンディションが一定以上でいられる状況でトレーニングを積むことを優先していました。

理由は、スピードを落としたくないからです。
スピードを出せない状況は、体に疲労が溜まりすぎている状況のため、動作を崩す恐れがあるからです。
疲れている状況でも動作を崩せず、スピードを高められるのであれば、その状態で走っても問題はないと考えています。

そうすることで、飛躍的に選手の成長スピードが高まりました。
実際、都道府県クラスで予選落ちしていた選手が翌年全国大会に出場できるようになるのですから、それは想像以上でした。

達成感や、頑張った感は成果に結びつかない

「達成感や、頑張った感は成果に結びつかない」という言葉は、私が指導者時代に、選手へ向けて口を酸っぱく伝えた内容です。
ただ、それを一方的に伝えるだけでは意味がなく、根拠を伝える必要があると考えました。
その為、どうして私自身がこのような考えにいったのか、そして選手にも同じことを感じたことはないか?と聞き、共通点がないかを確認していきました。

すると、
「トレーニングは何でもやればいい、積めば強くなる。」
「体のどこかが痛くても、それはトレーニングをしたためで、筋肉が弱いから。」
「〇〇合宿で〇〇先生がそう言っていた。」

この言葉を、当時全国トップクラスの中学生に言われました。
衝撃でした。
私と10歳以上も歳の差があるにも関わらず、私が中学生、高校生時代に言われた言葉と同じことを、中学生から言われていたからです。
業界が何の進歩もしていなかったことに驚愕しました。

私は、その選手に、今一度コンディションが一定以上の状況でトレーニングを行わなければ、トレーニング効果を得ることは難しいことを伝えました。

実行あるのみ

行動あるのみ。
ここは指導者としての腕の見せ所でもあります。
知識を学術的に学び、自分の指導に落とし込み、ブラッシュアップしていくことを行いました。
ウイングストレッチ等の動的ストレッチを実施し、関節角度を必要最低限ひろげ、選手自身の体を扱いやすい状況、走りやすいきっかけをフォローすることで、理解を深めてもらえるようにしていました。
当時、その選手は腰痛を患っており、腰痛を取り除くための身体バランス改善を行うだけでも記録は向上すると思えた程、バランスが崩れていました。

ただし、強制は一切しません。
他人から、強制されて行うトレーニングでは、効果を得られないと考えいます。
また、主体的に取り組めないので、スタートラインに立った時に自信を持つことが難しいと思います。

選手自身が納得し、自ら選択した。
という状況を如何につくれるか。
指導者は、導くのではなく、選手のフォローを行う。
私は、そのように考えています。
だからこそ、強制は一切しない。
嫌なら、私から指導を受けなくてもいいのです。
大事なのは、選手が納得して自ら歩みを進められるか。

私は、選手と話すことを重要にしていました。
困ったときの相談役であり、指導者が表には立たないことを意識していました。
指導者は黒子なのです。

年間のトレーニング計画による結果

本人が納得し取り組むことができた結果、全国ランキング1位、全国3位で全国大会入賞という結果だったと記憶しています。
これは、私の成果というよりも、選手自身の努力であると共に、この年は6名の全国大会出場を決めました。
トレーニング計画にブラッシュアップの余地はあるにせよ、方向性は間違っていなかったと感じました。

年間通してのスピード練習、及びスキルトレーニングは非常に効果的で、かつ一定以上のコンディションを保ってトレーニング強度を決めていたため、選手と指導者間のコミュニケーションは、かなり蜜で、お互いを理解しながら、トレーニングに取り組めたのは非常に大きかったと思います。

この経験から、トレーニングは年間通して同じ方向性で、かつスピード面、スキル面でのトレーニングを行うことは、とても重要だと感じました。

参考にしていただければ幸いです。

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