今回のssyブログでは、短距離を速く走る人の共通点について考えていきたいと思います。
皆さん、短距離を速く走れる人の走り方の特徴を考えたことはありますか?
速い人のここを見習えば速く走れるようになるんじゃないか?
同じトレーニングを行えば、同じような効果が得られるのではないか?
等、いろいろと考えたことのある人が多いのではないでしょうか。
では、短距離を速く走る人の共通点ってなんなのでしょうか?
ここでは、短距離を速く走る人の共通点を考え、普段のトレーニングや、指導者の方は指導の参考にしていただければ幸いです。
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ssyはその昔、小学生から高校生を対象に指導者をしており、
全国大会優勝2名
全国大会出場11名
という指導実績でした。
指導経験や、競技経験を活かし、考えていきたいと思います。
短距離を速く走る人は接地中に体を高い速度で進む
(伊藤ほか,1998)によると、短距離を速く走る人の共通点として、接地中の「脚の後方スイング速度が高い」という報告があります。
短距離を速く走る人の特徴として、脚の後方スイングスピードが高いということですが、これはピッチ型と言われる、走りの回転数が高いタイプ、そしてストライド型と言われる歩幅が大きいタイプであったとしても共通している点となります。
だからこといって、軸足を後方にスイングすればいいのか?という話ではないので、ご注意ください。
短距離を速く走る人は腿を引き戻すのが速い
短距離を速く走る人の共通点として、よく耳にするのが、
「後方の脚をすぐに引き付けられる」
ではないでしょうか?
では、これは事実なのかも含めて考えていきたいと思います。
脚の引き戻し力が高い
(福田ほか、2008年)によると、
股関節最大伸展速度はスタートから中間疾走にかけて疾走速度の増加にともない有意に増加した
という報告があります。
これから、股関節伸展は疾走速度に大きな関係があり、スピードを高める上でも、股関節最大伸展速度はとても重要と言えると考えています。
そして、伸展速度が高いということは、次の一歩を素早く踏み出さないといけないため、高いスピードで取り残される脚を、素早く前方へ引き戻す必要が出てくると考えています。
また、
(豊島と桜井,2018)
(矢田ほか,2012)
の研究から「強い力、かつ素早く腿を前に引き戻す能力が高い」という報告があり、短距離を速く走る人の特徴としては、後方の脚を素早く前方へ引き戻すことができると考えられるのではないかと言えると思います。
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脚の引き戻し力を高めるために
後方にスイングされた脚を前夫へ素早く引き戻すための効果的なトレーニングとして、一番のオススメは、下り坂を走ることです。
(Paradisis and Cooke, 2001)では、下り坂走において、四肢の可動域が拡大しストライドと最大疾走速度が増加したことが報告されており、下り坂走での接地時における左右大腿部に対する角度が有意に減少していることから、遊脚の股関節屈曲速度が高まったことを示唆しています。
実際、私も下り坂を走るトレーニングは重視していました。
後方に脚がスイングされまずが下り坂を走ってスピードが高まるため、脚が素早く前方にスイングされないと転んでしまいます。
そのため、自然と無駄な動作も省かれ、スイングスピードが高まる感覚がありました。
つまり下り坂を走るトレーニングは、遊脚のスイング速度を高める効果を期待するに有効であると考えられるのではないかと思います。
どういうことかというと、脚が流れている暇はないということです!!
下り坂トレーニングについては、以下に詳しく書いていますので、併せて読んでいただけると幸いです。
短距離を速く走る人の動作だけを真似ることの注意点
短距離を速く走る人の特徴的な動作や、トレーニングだけを真似してしまうと、本来求めたいポイントをおさえられていないことが出てくると考えています。
そのため、トレーニングの本質を理解して、トレーニングを設定していくことをお勧めします。
基本的なことは変わらないにしても、レベルによって、求められる要素が変わってくるところはあります。
そのため、今自分がどのようなトレーニングをすることで、どのような要素を高めたいのかというを考えながらトレーニング設定することで、記録向上につながっていくと考えています。
まとめ
短距離を速く走る人の共通点としては、後方へスイングされた脚が前方へ素早く引き戻される点であると言えるのではないかと思います。
つまり、脚が流れるような走りをしてしまっていると、前方への素早いスイングが難しいため、記録向上が難しいと考えています。
脚が流れていることを悩んでいる方は、コチラの記事も併せて読んでいただけると幸いです。
読んでいただける方の悩みや、参考になればと思います。
参考文献
豊嶋陵司, & 桜井伸二. (2018).
短距離走の最大速度局面における遊脚キネティクスとピッチおよびストライドとの関係. 体育学研究, 17008.
福田厚治・伊藤 章・貴嶋孝太(2008)
男子一流スプリンターの疾走動作の特徴-世界陸上東京大会との比較から-.バイオメカニクス研究,2:91-98
矢田恵大, 阿江通良, & 谷川聡. (2012).
世界一流および学生短距離選手の回復脚におけるキネティクス的相違. 陸上競技研究, 2012(3), 9-16.
Paradisis, G. P., & Cooke, C. B. (2001).
Kinematic and postural characteristics of sprint running on sloping surfaces. Journal of Sports Sciences, 19(2), 149-159.