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今回のssyブログでは、短距離を速く走るための体を進める方法について考えていきたいと思います。
短距離を速く走るためには、体を効率的に進める必要があります。
ただ、陸上界では古くから、「地面をしっかり蹴りなさい」、「地面を蹴らずに押しなさい」、「地面は蹴らない」等、様々な指導方があり、私も学生時代にかなり翻弄されました。
ということは凄く曖昧なため、迷う人はとても多いのではないかと思い、今回、この記事を書きました。
そして、この蹴らない、蹴るというのが曖昧な表現だからこそ、選手のレベル、指導者のレベルで明らかに言語の意味が異なっているように感じています。
それでは考えていきたいと思います!
地面を蹴る走りとは
短距離走における地面を蹴らない走りを考える前に、まずは地面を蹴る走りとはどういうことなのかを考えることからはじめたいと思います。
地面を蹴る走りとは、私の考えでは、接地した脚の膝関節、足首関節の角度を離地の際に大きくする、つまり伸展させる動作のことだと考えています。
文字だけでは分かりにくいと思いますので、以下の動画をご覧ください。
左脚に注目していただければ分かりやすいと思います。
これが地面を蹴る走りです。
左脚に注目して下さい。
地面から脚が離れる際に、膝関節、足首関節を伸展しきるように伸ばしています。
この状態だと、後方へスイングされた脚を素早く前方へスイングすることが難しくなります。
ということは仮にスピードが高まれば、接地のタイミングがズレていくため、スピードを高めること難しくなっていくと考えています。
この膝関節、足首関節を如何に伸展仕切らせずに走るかが、地面を蹴らない走りができるかに関わってくると考えています。
では、本題である地面を蹴らない走りについて考えていきます。
短距離を速く走るための地面を蹴らない走りとは
地面を蹴らない走りとは、先ほどの地面を蹴る走りの逆で、
接地の際の軸足の膝関節、足首関節が、地面から離れる際と同じような状態(伸展仕切らない、もしくは角度が大きくならない)で走ることです。
こちらも動画で確認してましょう。
接地の際に、左脚の膝関節、足首関節の角度が、地面を離れる際もかなり近い角度で伸展しきらない状況です。
この軸足の膝関節、足首関節の角度を大きくしない、伸展しきらないというのが非常に重要になってくると思います。
でも、ここで疑問が出てくる人もいると思います。
例えば、
蹴らないと体が進まないです。
蹴っている感覚が欲しいです。
誰誰からは地面を蹴れって言われてます。
等です。
この地面を蹴るというのは、指導者側が本質を理解しているかは一旦おいておいて、本質を見ると地面を蹴りなさいというのは、「股関節の伸展するパワーをうまく地面に伝えて走りなさい」という言葉に置き換えてみて下さい。
このように置き換えるだけで、だいぶと意味合いが異なります。
膝関節、足首関節のように、股関節よりも小さいパワーしか発揮でない部位に頼るのではなく、体の中心部になる股関節の伸展するパワーをうまく地面に伝えること工夫していくことが、地面を蹴らない走りであり、短距離を速く走る方法だと考えています。
短距離を速く走るために地面を蹴らない?
地面を蹴る、蹴らないについて考えていきましたが、では実際地面を蹴らないように走りたいと思ってもどうすればいいの?という話なので、方法を考えていきたいと思います。
地面を蹴らずに走るためには?
地面を蹴らずに走るには、膝関節、足首関節を伸展させることに頼らずに走る、つまり股関節の伸展するパワーを上手く地面に伝えられるようになれば、地面を蹴らずに走ることが可能となると考えています。
そのためには、身体ポジションを整え、接地の際に体重をどこで受け止めるかという2点が大きくかかわってくると思います。
細かく考えると、接地する場所等、いろいろなことを考える必要は出てくるのですが、導入としては細かいことよりも大きな枠でとらえて取り組むことが非常に大切だと考えています。
身体ポジションについて
身体ポジションを考える際に、地面を蹴って走る人は、以下のような感覚、状況で走っている可能性が高いと思います。
例えば、
・走っていると背中が反ってしまう
・レース後半で脚が前に出にくくなる
等です。
まずは、上記は身体ポジションが適切でないから起こってしまう現象だと考えていただくことが必要です。
筋力不足で片づけないことが非常に重要です。
・背中が丸まらない
・背中が反らない
・接地の際に、臀部で体重を受け止められるように
この3点を守って走ってみて下さい。
最初は、感覚を掴むために遅くても問題ないです。
ただし、何があってもこの身体ポジションを優先してください。
こういう姿勢になればお尻で体重を受け止められると考えています。
身体ポジションを改善すれば、自然と体重を受け止める部位も変わってくると考えています。
ただ、それだけ身体ポジションのことを考えているという人は少ないのではないでしょうか?
実は、身体ポジションをかえるだけで、動作は大きく変わると考えています。
筋力不足で片づけるのはお勧めできないと考えています。
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臀部で体重を受け止める
身体バランスが整えば、自然と接地時に体重を臀部で受け止めることができえると考えています。
臀部で体重を受け止めることができれば、股関節の伸展するパワーを地面に上手く伝えることができ、体を進めることができると思います。
地面を蹴らない走りというのは、地面に対してパワーを加えないわけではないということは注意が必要です。
股関節が伸展するパワーを地面に上手く伝えることができれば、膝関節、足首関節を伸ばして体を進めるというロス動作を抑えることができると考えています。
まとめ
地面を蹴らない走りは、膝関節、足首関節の伸展に頼り走るのではなく、股関節の伸展するパワーを上手く地面に伝えて走ることだと考えています。
地面を蹴らない走りを習得するためには、いろいろなアプローチがあるにせよ、まずは身体ポジションを改善することで、走る接地の際に、体重を臀部で受け止めることができるようになると考えています。
地面を蹴った走りは、膝関節、足首関節を伸展させることに頼った走りのため、体の後方に大きなスイング動作となり、脚を素早く前方へスイングさせることが難しいため、スピードも高まりにくく、接地するタイミングもどんどんズレていくため、速く走ることが難しいです。
この点を注意しながら、トレーニングに励むことが非常に重要だと考えています。
参考になれば幸いです。
参考文献
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・井上雄太. 短距離走における疾走速度と減速との関係―身体の起こし回転運動に着目して―. 平成24年度 修士論文 抄録 , 愛知教育大学保健体育講座研究紀要. 2012, 37, p. 70-72.
・福田厚治, & 伊藤章. (2004). 最高疾走速度と接地期の身体重心の水平速度の減速・加速: 接地による減速を減らすことで最高疾走速度は高められるか. 体育学研究, 49(1), 29-39.
・遠藤俊典, 宮下憲, & 尾縣貢. (2008). 100 m 走後半の速度低下に対する下肢関節のキネティクス的要因の影響. 体育学研究, 53(2), 477-490.
・豊嶋陵司, & 桜井伸二. (2019). 短距離走の最大速度局面における滞空比と上肢および回復脚の相対鉛直加速力との関係. 体育学研究, 17126.